ホストクラブで働くと聞いてイメージする姿は、華やかなスーツ姿でシャンパンを開けるホストたちでしょう。しかし、そんな眩しいステージの裏には、ホストたちの活躍を支える「黒服」と呼ばれる存在がいます。
j黒いスーツに身を包み、フロアの隅で常に目を光らせながら、入店客の対応や会計、ドリンクの準備、トラブル対応など、裏方の仕事を一手に担う黒服。姫様と接する機会は少ないものの、お店の雰囲気や売り上げを左右するほど重要なポジションです。実際、黒服なしではホストクラブは一夜たりとも回りません。
とはいえ、黒服の存在はあまり知られてはいないもの。どのような仕事なのか、キャバクラのボーイとはどのような違いがあるのか、どのような人が向いているのか、謎が多い存在です。
本記事では、そんな黒服の仕事を取り上げ、仕事内容・ボーイとの違い・裏方として働くやりがいや現実・メリットやデメリットを具体的に紹介していきます。黒服に興味がある人にとってはうってつけの記事です。
「ホストとして働くにはちょっと勇気がいるけど、業界には興味がある」というあなたにこそ、ぜひ知ってほしい「黒服」という仕事。この記事を通して、黒服の仕事の魅力を存分に理解してください!!
黒服とは!?ボーイとの違いは!?
ホストクラブにおける「黒服」とは、店舗を運営・管理する裏方スタッフのことを指します。黒いスーツを着て働くことから「黒服」と呼ばれ、ホストたちが安心して接客に臨めるよう、店全体を支える縁の下の力持ちです。
黒服の主な仕事
黒服の主な仕事は、フロアでの接客サポート、ドリンクの提供、シャンパンコールの準備、会計対応、清掃、お酒の在庫管理、新人ホストの教育など、挙げればキリがありません。営業前はテーブルセットやグラスの磨き上げ、営業中は姫様のグラスの減り具合を見て追加オーダーを取り、盛り上がるタイミングで音楽や照明を調整するなど、お店の空気を読む力が求められます。
また、時にはトラブル対応も黒服の重要な仕事のひとつです。酔ってしまった姫様のフォローや、ホスト同士の衝突を穏やかに納めることもあり、まさに縁の下の力持ちとしてフロアを守る立場です。
ボーイとの違い
ホストクラブでは、ボーイという言葉もよく使われます。一般的にボーイは、飲食店やバーなどでお客様にドリンクを運ぶホールスタッフ全般を指す言葉です。ホストクラブでも入店したばかりの新人スタッフをボーイと呼ぶことが多く、仕事内容は黒服と似ていますが、経験や責任の重さが異なります。
ホストクラブでのボーイは、ホストの補助役として働く見習いスタッフであり、グラス洗いや配膳、テーブルセッティングなどの基本業務を担当します。経験を積み、店全体の運営を任されるようになると「黒服」と呼ばれるようになります。
黒服はボーイからステップアップした上位職にあたります。経験を積んでいけば、黒服から幹部・店長・代表などと昇進していくキャリアパスもあり、ホストと同じように実力次第で上を目指すことができる世界です。
黒服はホストクラブの裏方でありながら、実際には店の品質を守るプロフェッショナルです。姫様が安心して楽しめる空間を作り、ホストが最高のパフォーマンスを発揮できるように支える。店を支える責任と誇りを持ち、夜の世界を裏から動かす仕事と言えるでしょう。
黒服になるメリット・デメリット
ホストクラブの黒服は、ホストの活躍を支える裏方として、店の運営に欠かせない存在です。その分やりがいも大きい仕事ですが、同時に体力や責任が求められる厳しさもあります。
ここでは、黒服として働く上でのメリットとデメリットを紹介していきます。
メリット①:ホスト業界を間近で学べる
黒服として働く最大の魅力は、ホストクラブの現場を最前線で見られることです。接客の流れ、売上の仕組み、イベントの作り方、ホスト同士の営業戦略など、普通の仕事では得られない貴重な体験をすることができます。
「ホストクラブに興味がある」「自分で店を持ちたい」という人にとっては、黒服として現場を学ぶことが最高の実践トレーニングになります。お店全体の動きを把握する力や、姫様を観察する目も自然と鍛えられるでしょう。
メリット②:人間関係と対応力が磨かれる
黒服の仕事では、ホスト・お客様・他のスタッフとの関係を円滑に保つ必要があります。時にはホスト同士のトラブルを仲裁したり、酔ってしまった姫様を介抱したりと、人と関わる力や冷静な判断力が求められます。その分、経験を重ねることで人間的な成長を感じられる仕事です。
特に、社会人としての礼儀、コミュニケーション能力、対応スピードといったスキルは、どの業界に行ったとしても通用します。
メリット③:キャリアアップの道がある
黒服はただの裏方ではなく、キャリア職としての道も用意されています。
経験を積むことで、店の運営・採用・教育に関わるポジションに進むことも可能です。実際、人気店の代表やオーナーも、元黒服というケースは少なくありません。
地道な努力が正当に評価される世界なので、実力と信頼を積み上げていけば、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
デメリット①:体力的にハード
黒服の勤務時間はホストよりも長く、深夜~早朝に及ぶこともしばしば。営業前の準備、営業中の立ち仕事、営業後の片づけ・会議などと続き、睡眠時間や生活リズムが不規則になりやすいのが現実です。
特に繁忙期やイベント日は休憩もほとんど取れないことが多く、体力と集中力が求められる仕事でもあります。
夜職が初めての人は、最初のうちは生活リズムに慣れるまで苦労するかもしれません。
デメリット②:責任とプレッシャーが重い
黒服はホストのように売上の競争がないため、プレッシャーを感じにくいと思われがちですが、実際は姫様とのトラブル対応、売上管理、スタッフの教育など、多くの責任を背負うことになります。小さな判断ミスが店舗の売上や信頼に直結するため、常に冷静な判断が必要です。
また、ホストと経営陣の間に立つ立場でもあり、板挟みになることも少なくありません。人を支える立場にやりがいを感じる一方で、精神的なタフさが求められる仕事でもあります。
デメリット③:地味に見られがち
ホストのようにスポットライトを浴びる仕事ではないため、周囲からは大変さが理解されず、裏方で地味だと思われることもあります。目立つ仕事をしたい!!と思っている人にとっては、初めは少し物足りなく感じてしまうこともあるかもしれません。
目立たなくても、プロとして誇りを持って働ける人こそ、黒服の仕事に向いていると言えるでしょう。
黒服は、華やかな世界の影で店を支える縁の下の主役です。
体力的にも精神的にも大変な仕事ですが、ここで得られる経験は確実に人生の財産になります。夜の世界を深く知りたい、将来は店を任されたい、そんな人にはまさにぴったりのポジションです。
黒服の待遇
ホストクラブの黒服というと、夜の世界=給料が高いというイメージを持つ人も多いでしょう。実際、体力的にも精神的にもハードな仕事である一方、経験や実力に応じてしっかりと評価される環境が整っています。ここからは、黒服の給料や勤務時間、昇給制度等の待遇面について詳しく見ていきましょう。
給料の目安
黒服の給料は、地域や店舗の規模、役職によって大きく異なりますが、未経験で入店した場合の月給は、およそ25万円~30蔓延前後が一般的です。夜職としては安定しており、一般的な仕事と比べても、決して低い方ではないでしょう。
経験を積んでチーフや店長クラスになると、月給40万円~60万円、さらに幹部や統括クラスになれば、月給100万円以上を稼ぐ人も少なくありません。歩合制のホストとは違い、黒服は固定給+業績手当の形が多く、安定して収入を得られるのが特徴です。
また、イベント企画や売上管理で成果を上げることができると、ボーナスや昇給につながることもあります。
勤務時間とシフト
黒服の勤務時間は、店舗の営業時間に合わせて夕方~深夜(18時~翌朝3時頃)が中心です。営業前の準備や営業後の片づけ。MTGなどを含めると、実働はホストよりも長く、8時間~10時間程度になります。繁忙期はやや長くなる傾向がありますが、最近では黒服の労働環境を改善する店舗も増加しており、週休2日制やシフト制を採用している店舗もあります。
昼夜が逆転してしまう生活に慣れは必要ですが、もともと夜型の人や、昼間に自由な時間を持ちたい人には相性の良い働き方です。
昇給・キャリアアップ
黒服の世界では、実力主義が徹底されています。
勤続年数よりも、どれだけ店舗の売上に貢献したか、ホストや姫様から信頼されているかで昇進スピードが決まります。
最初は雑務中心の見習い(ボーイ)からスタートし、チーフ、店長、幹部とステップアップしていくのが一般的です。
昇進すれば、給料が上がるだけではなく、店の方針決定や人材育成等に関わる機会も増えます。黒服は、単なるサポートスタッフではなく、店の経営を学べるキャリア職でもあるのです。
福利厚生と働く環境
ホストクラブというと、福利厚生とは無縁だというイメージを持つ人もいますが、近年は業界の健全化が進み、社会保険への加入や交通費の支給がある店舗も増えています。
特に大手のグループ店では、食事補助や社員旅行、有給休暇の制度、ボーナス等も整備されており、夜職の中でも比較的安定した職種だと言えます。ただし、個人経営の店舗ではこのような制度が整っていないケースもあるため、応募の際にしっかりと確認をしておくことが大切です。
スタッフ同士、お互いを支え合う文化があるため、未経験でも安心して働ける環境が整っています。
黒服としての仕事は決してラクではありませんが、頑張り次第で確実にステップアップできる環境があります。安定した収入を得ながら経営を学ぶことができる、魅力ある仕事です。
黒服の仕事が向いている人
黒服の仕事は、華やかに見えるホスト業界の中でも、特に冷静さと人間力が求められるポジションです。
姫様の前では決して目立たない存在ですが、その分だけ店を裏から支える責任が伴います。ここでは、黒服に向いている人の特徴をいくつか紹介します。
向いている人①:気配りと観察力がある人
黒服の仕事は、誰かの指示を待って動くよりも、今何が必要かを自分で察知して動くことが大切です。例えば、姫様のグラスが空きそうなタイミングでドリンクを準備することや、テーブルの雰囲気を見ながらBGMや照明を変えること、スタッフの動きが重なってしまっていたら裏で調整することなど、指示を待っていてはできない業務ばかりです。お店全体の印象を決めるのは、黒服の細やかな気配りと観察力です。自分が表に出るよりも、人を支えることにやりがいを感じるタイプにはピッタリの仕事です。
向いている人②:冷静に対応できる人
ホストクラブの営業中は、盛り上がる時間もあれば、思わぬトラブルが起きることもあります。
酔ってしまった姫様のフォローや、姫様同士、スタッフ同士のトラブル、突然の機材のトラブル等、予想することが難しいことが起こる場合もあります。
そんな場面でも焦らずに冷静に行動することができる人は、黒服として非常に頼りにされます。黒服は影のリーダーでもあり、感情的にならずに全体を見渡す力が求められるのです。
もともと落ち着きがあり、周囲を安心させられるタイプの人には特に向いています。
向いている人③:チームワークを大切にできる人
ホストクラブは、ホスト・黒服・キャッシャー・キッチンスタッフなど、多くの人が関わるチームビジネスです。その中で黒服は、各スタッフをつなぐ調整役でもあります。
誰かが困っていたらサポートに入り、ホストの働きやすい環境を整える。そんな協調性と支える姿勢が求められます。仲間の成功を素直に一緒に喜べる人や、チーム全体の成果を優先することができる人は、黒服として信頼を集めやすいでしょう。
向いている人④:成長意欲と責任感がある人
黒服の仕事は覚えることが多く、最初は大変に感じるかもしれません。しかし、経験を積むほどに店の運営やマネジメントの知識が身につき、キャリアアップのチャンスも広がります。
「自分の手で店を良くしたい」「信頼される存在になりたい」という成長意欲と責任感を持つことができる人は、黒服として長く活躍できるでしょう。
コツコツと努力を重ねることができるタイプが評価されやすい職種です。
反対に、黒服の仕事に向いていないのは、「自分だけ目立ちたい」「注意をされるとすぐに落ち込む」「夜型の生活に強いストレスを感じてしまう」タイプの人です。黒服の仕事は、ホストと比べるとどうしても地味になってしまいますが、華やかさよりも安定と信頼が求められる職種です。縁の下の力持ちとして店舗を支えることに喜びを感じられるかどうかが、黒服の仕事に向いているかどうかの分かれ道になるでしょう。
黒服は、派手な世界の中で静かな強さを発揮することが求められる仕事です。決して簡単ではありませんが、自分の努力が店全体の成果につながる実感を得られる職業でもあります。
人を支えることが好きな人、努力を積み重ねることができる人にとって、黒服はきっと誇りを持って働ける天職になるでしょう。
ホストクラブの黒服は、華やかな世界の裏で店舗を支える「影の主役」です。
ドリンクを運び、照明やBGMを調整し、トラブルを未然に防ぎながら、ホストたちが安心して働ける環境を整える。決して目立つ仕事ではありませんが、その一つひとつの動きが店全体の印象や売り上げを左右する、店舗にとって非常に重要なポジションです。
黒服の仕事には、ホスト業界の知識を間近で学べるメリット、人間関係や対応力が鍛えられる魅力、そして昇進によって店の経営にも関われるというやりがいがあります。その一方で、深夜勤務や体力面の負担、責任の重さといった厳しさもあります。
だからこそ、冷静さや観察力、チームワークを大切にする人が求められる職種なのです。
また、近年は業界全体が健全化し、社会保険や休暇制度などが整った店舗が増えています。以前のように、夜の世界という閉鎖的なイメージではなく、今では一つのキャリアとして、黒服としての仕事を選ぶ人も少なくありません。
ホストクラブにおける黒服は、ただの裏方ではなく「店の質を作るプロフェッショナル」とも言われます。華やかな舞台の中心で輝くホストたちを支えながら、自分自身も確実に成長することができる仕事です。
「人を支えることが好き」「責任のある立場で働きたい」そんな想いを持つ人なら、黒服という道で大きなやりがいを見つけることができるはずです。